Quantized Volume Comparison for Fano Manifolds, II
日本語要約
滑らかなK-semistable Fano多様体の各反標準次数で、切断空間の次元は射影空間のそれ以下であり、一つの次数での等号だけで射影空間を特徴づける。さらにK安定性より弱い接束の傾き半安定性だけで同じ結論を導き、漸近的な体積比較を有限次数ごとの鋭い比較へ量子化する。
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極小モデル理論(MMP), KLT多様体, Chern類, K-安定性, Fano多様体など
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滑らかなK-semistable Fano多様体の各反標準次数で、切断空間の次元は射影空間のそれ以下であり、一つの次数での等号だけで射影空間を特徴づける。さらにK安定性より弱い接束の傾き半安定性だけで同じ結論を導き、漸近的な体積比較を有限次数ごとの鋭い比較へ量子化する。
滑らかな射影的トーリック弱Fano多様体は、弱Fano性を保つトーリック操作で射影空間へつながるというSatoの予想に、全次元3以上で反例を与える。反例を阻むray polytopeの格子点剛性を示す一方、特異なGorenstein中間モデルを許す精密化を提案し、次元3以下と反例族について成立を証明する。
$n$ 次元klt特異点の局所体積を最小対数的食い違い係数で抑える鋭い不等式を証明し、等号を巡回商特異点で特徴づける。 さらに比の離散性とlog Fano対のmldの明示的下界を導き、局所K安定性の不変量をMMPの古典的不変量へ結びつける。
滑らかな曲線上の生成線形系の線形安定性が、付随するsyzygy bundleの傾き安定性を導く条件を調べる。 一般曲線ではBrill--Noether理論を、偏極K3曲面上の曲線ではLazarsfeld--Mukai束とBridgeland安定性を用いて、Mistretta--Stoppino予想の新しい成立範囲を与える。
Picard階数2・反標準次数28のFano三次元多様体族No. 2.21について、K-polystableな退化をすべて分類し、そのK-moduli成分を記述する。境界は鎖状に交わる3本の射影直線からなり、各stratumをquadricに沿う具体的なblow-upとして同定する。
正標数の射影直線の積にあるmultiplicity-free integral subvarietyが幾何的F-rational singularityをもつことを示す。Brionのnormal・Cohen–Macaulay性と標数零のrational singularityを強化し、flag varietyのSchubert基底に関する一般化にも証明が及ぶ。
正標数のsmooth projective variety上で、stratified vector bundleのmonodromy groupを、その各段に現れるstrongly semistable bundleのmonodromyから近似する。Tannakian subgroupの増大列のclosureが元のstratified monodromyを回収することを示す。
$n$ 次元K多重安定トーリック $\mathbb{Q}$-Fano多様体の通常の非同変アルファ不変量が取り得る値を完全に決定する。 その集合が有理数区間 $\mathbb{Q}\cap[1/(n+1),1/2]$ に一致し、既知の個別構成を完全な実現定理へ拡張することが主張される。
正・混合標数 $p>5$ の基底上で、$K_X+\Delta$ がeffective因子に数値同値なQ-factorial log canonical 4次元対に対する錐定理を証明する。 log resolution予想を仮定し、負の端射線の離散性、曲線による生成と長さ評価、nef thresholdの有理性を得る。
滑らかな4次元二次超曲面 $Q^4$ 上の階数2弱Fanoベクトル束を、直線束による捩りを除いて分類する。 分裂束、2種類のスピノル束、または $c_1=-H_{Q^4}$、$c_2=\alpha+\beta$ の既知の安定束だけが現れることを示す。
Calabi–Yau 多様体の基礎位相が、弱 Fano 性、準正の正則断面曲率、Hamilton 円作用、Kähler 双曲性と両立するかを調べる。偶数複素次元での弱 Fano との非同相性など、正と負の幾何を横断する一連の位相的障害を示す。
非常に一般の種数7の素 Fano 三次元多様体について、Abel--Jacobi 写像では消えるが Chow 群では非零となる具体的なサイクルを構成する。これにより Shen--Vial の乗法的 Chow--Künneth 分解が存在しないことを示す一方、代数的同値を法とすれば任意の Fano 三次元多様体にその分解が存在することも証明する。
二つの横断的 Lagrange ファイブレーションをもつ $K3^{[n]}$ 型または OG10 型の射影超 Kähler 多様体から、積上の捩れ超正則ベクトル束を構成する。これを用いて OG10 型超 Kähler 多様体に対する Lefschetz 標準予想と、双有理なものの導来圏が同値になるという D-同値予想を証明する。
二つの滑らかな成分が横断的に交わる境界をもつ複素多様体上で、無限遠のモノドロミーが冪単な平坦束の Deligne 標準延長を研究する。二重フィルトレーションと二変数の cubical 変形を用い、次数 $p\geq2$ の拡張レギュレーター類が捩れであることを証明する。
楕円曲線の余接束から作る Hilbert scheme と、放物 Higgs 束のモジュライ空間との既知の同型が、複素多様体としてだけでなく正則シンプレクティック多様体としても同型であることを示す。有限巡回群の位数が 1, 2, 3, 4, 6 の五つの場合を統一し、Hilbert scheme 上に Hitchin 系を与える。
整数の分割から作る多重射影空間、より一般に各次元で固定した Picard 数1の Fano 多様体の積を分類する。閉曲線錐の極端収縮から因子の次元を復元し、異なる分割に対応する積が非同型であることを統一的に示す。
正標数の滑らかな射影多様体について、絶対 Frobenius の trace kernel が豊富になる条件とその幾何的帰結を調べる。この豊富性が非自明な射を許さない強い制約を課すことを示し、古典型および $G_2$ 型の Picard 数 1 の射影等質空間を低標数の明示的例外まで分類する。
等次元なトーリック射について、相対反標準因子の全ての完全曲線上での次数が相対次元を超えるなら、アフィンな底の上で射影空間との直積になることを示す。全空間の $\mathbb Q$-factorial 性を仮定しない剛性定理であり、長い端射線に付随する縮約へ応用される。
滑らかな射影完全交叉曲面を不変にする正則葉層について、許される次数を完全に決定する。これによりPoincaré問題の明示的境界を得るとともに、十分大きな次数では孤立特異点スキームを含む別の葉層が接束の大域自己準同型からちょうど生じることを示す。
canonical特異点を持つ階数1葉層では、葉層標準因子のMMPの出力が同型まで一意であることを証明する。一方、3次元余階数1葉層にはkltおよび一定のF-dlt条件下でフロップの存在を示し、階数1では古典的MMPにないフロップ非存在やbase-point-free型の病理も構成する。
一般のFano完全交叉が任意の多重次数・次元でK多重安定であり、射影空間と滑らかな二次超曲面を除けばK安定であることを示す。分岐被覆型の特別な完全交叉を構成して安定性を証明し、族におけるK安定性の開性から一般の元へ移すことで、高次元で未解決例の多かった問題に一括して答える。
幾何種数0の射影曲面上で、特殊な偏極から標準的なCayley–Bacharach拡大によって階数2の特殊Ulrich束を作ることへの非存在定理を証明する。一方、primary Burniat曲面では全ての偏極が非特殊であるため、安定な特殊Ulrich束が常に存在し、特殊なample類が現れる数値的な半直線も特定される。
数値的平坦な直像層を用いて、ファイブレーションがtorsorから作られる随伴ファイバー束であるための標数に依らない判定法を与える。これを反標準因子がnefな特異対へ適用し、正標数と複素数体の双方でAlbanese射の弱Beauville–Bogomolov分解と斉次性を導く。
Chern数が素数pと互いに素な滑らかな射影多様体への有限p群作用を、本質的p次元を介して低次元線形表現に制約する。固定点定理やCremona群のp冪位数への算術的な上界を導き、作用に依存しない特性数が群作用を検出する仕組みを与える。
超Kähler錐に漸近する代数的超Kähler構造のモジュライを、三つのKähler類からなる周期で分類する。Kirwan写像の全射性などの仮定の下で周期写像の全単射性を示し、KronheimerのALE重力インスタントンのTorelli型定理をトーリック超Kähler多様体や中島箙多様体へ拡張する。
Chern勾配が最小の一般型曲面であるHorikawa曲面について、非常に一般の点では有理曲線・楕円曲線が有限個しかないことを示す。分岐二重被覆を対数対の双曲性へ移し、例外曲線を明示的に特徴づけて数える。
複素射影平面上の次数 $d$ の余次元1正則葉層について、代数的重複度が最大値 $d$ で、特異点がただ一つとなる場合を特徴づける。局所特異点の Milnor 数と大域的な特異点数を結び、こうした葉層の不変直線および Hilbert--Mumford 安定性も調べる。
種数3以上の一般曲線上で、一般ベクトル束の射影束に付随する生成線形系の核束が安定となる十分条件を与える。階数・次数・切断空間の次元に明示的な不等式を課し、曲線の場合の Butler 予想から射影束の次元に関する帰納法で高次元へ進む結果である。
対数 Higgs 束の多重安定性と Chern 類等式から、滑らかで固有な Deligne--Mumford スタックの開部分が複素単位球の商になることを特徴づける。逆に任意の球商スタックについて、境界が有限群による Abel 多様体の商の非交和となる滑らかな固有コンパクト化を構成する。
標準的な特異 Fano 多様体である well-formed 重み付き射影空間について、標準特異点を仮定した Fano 指数の鋭い上界を与える論文である。得られた上界は Picard 数 1 の $\mathbb{Q}$-factorial トーリック Fano 多様体にも及び、4 次元での指数の分布も制約する。
通常の klt pair に対する標準環の有限生成が generalized pair にも成り立つかという問題に、反例を与える論文である。著者らは滑らかな射影多様体上で nef な generalized canonical class をもちながら、その環が有限生成でない 19 次元の例を構成する。
整数係数をもたない有理 Hodge 構造の変動を明示的に構成し、非可換 Hodge 理論で整合性を外すと生じる病理を調べる論文である。曲線上の稠密モノドロミーをもつ例、指標多様体の $S$-整点、非整係数 Hodge locus の振る舞いを結びつける。
複素射影空間内の三次超曲面について、重複成分や可約な場合も含めて補集合が Oka となる条件を完全に分類する。唯一の例外は、同じ pencil に属する相異なる三超平面の和であり、特に長く未解決だった滑らかな平面三次曲線の補集合が Oka であることが従う。
コンパクト Kähler 多様体上の二つの Kähler 類について、$J$-slope 半安定性が双有理テスト類で定義される最小 $J$-slope と位相的 slope の一致と同値であるという Datar--Mete--Song 予想を証明する。さらに半安定なトーリック Kähler 多様体では最適不安定化部分多様体の集合が解析的であり、不変な場合の弱解が大トーラス上で滑らかになることを示す。
多重劣調和関数の乗数イデアルを一般のファイバーへ制限したとき、ファイバー上で直接作る乗数イデアルと一致することを、例外集合を多重極集合にまで精密化して示す。局所解析的Bertini定理についてのBoucksomの予想を解決し、一般の正則写像にも拡張する。
klt Fano多様体がK半安定でない場合にも、Miyaoka–Yau型Chern数不等式の不足分をデルタ不変量で定量化する論文です。滑らかな等号成立の場合は射影空間を特徴づけ、さらにKähler–Ricciソリトンに適合する同変版を示します。
modified bigな境界をもつコンパクトKähler generalized klt対に対して、Mori fiber spaceまたはgood log terminal modelへ至る最小モデル・プログラムを確立する。中心となる超越的base-point-free定理は、nefな随伴Bott--Chern類がKähler類の引き戻しとして半豊富になることを示す。
曲線上のlog Calabi--Yauファイブレーションに新しい安定性条件を導入し、固定した数値的不変量ごとにproperなDeligne--Mumfordスタックと射影的粗モジュライ空間を構成する。境界でも平坦なファイブレーションというモジュラーな意味を保つよう、特異点、quasimap、Chow線束の条件を組み合わせる。
正標数の標準類数値的自明な多様体について、quasi-$F$-splittingが幾何的非単線織性・正規性やMMP特異点をどこまで制御するかを明らかにする。quasi-$F$-splitとquasi-$F^\infty$-splitの差を示す反例も構成し、局所的には解消の存在を仮定してlog canonical性を導く。
円周上に滑らかにファイバー化するにもかかわらず、すべての正則1形式が零点をもつ滑らかな複素射影多様体を構成し、Kotschick予想に反例を与える。Albanese写像がhomotopy fiber bundleだがsubmersionではない例と、Aomoto複体による条件の限界も示す。
非等モジュラーなシンプレクティック楕円曲面に対し、Kodairaの函数不変量を精密化するsymplecto-functional invariantを導入し、それが楕円ファイバー構造を決定することを示す。これにより固定した始域・終域をもつisogenyを分類し、楕円K3曲面のファイバー近傍の同型を大域的isogenyへ延長する。
任意の体上の固有スキームについて、直線束の体積を定義する上極限が常に真の極限になることを証明する。さらに、有界導来圏の対象で摂動した漸近コホモロジーの増大率を、被約部分スキーム上の漸近コホモロジー関数とコホモロジー層の階数で表す。
Picard数の大きいK3曲面をアーベル曲面と結ぶOda--Morrison型の対応を、射影的な$K3^{[n]}$型超Kähler多様体へ拡張する。超越格子が$U^3$へ有理的に埋め込めるという仮定の下で、超越Hodge構造を同一視するアーベル多様体との代数的対応を構成する。
射影束のネフ錐と擬有効錐が一致することから元の束の傾き半安定性を導けるか、という問題に明示的な反例を与える。$\mathbb P^2$ 上の $E=T_{\mathbb P^2}(-1)\oplus\mathcal O_{\mathbb P^2}$ は傾き不安定だが、$\mathbb P(E)$ は1斉次であり、Fulger–Langer の問いに肯定的に答える。
Wittベクトルを用いて古典的$F$特異点を拡張するquasi-$F$特異点を概説し、klt・lc・pseudo-rational・pseudo-Du Bois特異点との対応を整理する。加えてquasi-$F$-injective性の判定、変形、二次元での対応に関する新結果を示す。
滑らかな偏極射影多様体 $(X,H)$ で接束の中間外冪 $\bigwedge^rT_X$ が $H$-Ulrich となる場合を調べる。論文は $X$ がFanoであることと反標準因子の交点数を決定し、Picard数1なら唯一の例がVeronese曲面 $(\mathbb P^2,\mathcal O_{\mathbb P^2}(2))$ であると分類する。
標数0の層に、一般の正標数還元と反復Frobenius引き戻しで測る新しい正値性を導入する。半安定射のHodge束が従来のnef性より強い性質をもち、消滅定理、Chern指標の非負性、Fano多様体の像、曲線族のslope不等式へ応用できることを示す。
高次元では一般に全射でない Hitchin 写像について、Chen–Ngô の spectral base が実際に像を与えるかを調べる。滑らかな射影曲面上の奇数階特殊線形群、および曲線の積上の特殊線形群とシンプレクティック群で、この予想を肯定する。
単純abelian多様体への射が滑らかであることを、引き戻しが零点を持たない正則1形式の存在で特徴づける。正則1形式の零点集合の線形性が成立する広いクラスを示す一方、abelian多様体内の滑らかな4次元部分多様体で低位集合が非線形になる例も構成する。
Kähler条件を $\|\nabla J\|$ が小さいalmost-Hermitian構造へ弱めても、有界幾何の下では奇数次Betti数の偶数性が保たれることを示す。弱いSobolev位相でのコンパクト性と低正則性Hodge理論を組み合わせ、Kähler幾何の性質が存続する「閾値」を定式化する。
cusp因子と有理parabolic重みをもつ対数対で、parabolic Bogomolov–Gieseker等号から複素ballへのperiod mapを構成する。一般の重みでは分岐した複素双曲構造となり、$q_i=p_i-1$ の標準重みで厳密なorbifold ball一意化となることを示し、逆方向も確立する。
Poisson Fano多様体でPoisson構造の階数が落ちる退化軌跡について、Bondal予想を5次元で証明する。より一般に奇数次元の劣最大退化軌跡へ下界を与え、葉層の代数的可積分性、modular residue、Pfaff場のコホモロジー制約を組み合わせる。
klt特異点のnormalized volume最小化付値が定める安定退化は、非退化反射的微分形式を保存する。これをsymplectic退化の剛性と組み合わせ、任意のsymplectic特異点の形式完備化が錐状であるというKaledin予想を証明する。
big line bundleの体積だけでなく第1 Riemann--Roch係数も近似する特殊Fujita近似の存在を証明する。これにより非Archimedes的entropyの正則化予想を解き、滑らかな偏極射影多様体のcscK計量の存在と自己同型群に相対的な一様K安定性の同値を導く。
通常の標準因子と葉層の標準因子を混合した随伴葉層構造について、$t$-K半安定性がlog canonical特異点を強制することを示す。さらにCalabi--Yau型・一般型・Fano型における安定性とklt性の対応を確立し、Odakaのflag ideal法を葉層設定へ拡張する。
Higgs束の階数 $d$ のHiggs部分束を表現するHiggs Grassmannianを通常のGrassmann束の閉部分スキームとして具体化し、その幾何をHiggs場の局所Jordan型から調べる。階数1の場合のgeneric fiberの有限性、Simpson systemの半安定性、spectral coverとの全射という応用を与える。
Campana--Păunによる対数余接束の傾きと対数標準束の正値性の結果を、projective coarse moduli spaceを持つ滑らかなproper Deligne--Mumfordスタックへ拡張する。正の傾きを持つ葉層の代数性を確立し、bigなViehweg--Zuo型部分層から対数標準因子のbignessを導く。
Higgsベクトル束に局所的正値性を測るSeshadri定数を導入し、Higgs豊富性の判定、曲線への制限による計算、曲線上での最小Higgs傾きとの一致を示す。通常のベクトル束の理論を、Higgs商を記録するGrassmannスキームへ移す研究である。
単純正規交差slc対からなる高次元の族について、pluricanonical直像の部分層の第一Chern類を対数標準類と分岐で抑える有効なArakelov型不等式を証明する。曲線上では鋭い評価となり、good minimal modelを持つ一般ファイバーのIitaka体積にも上界を与える。
単線織射影多様体上の極小有理曲線について、曲線近傍の解析的germがいつ同値になるかを概説するsurveyである。VMRTが一定の射影多様体型を持つ場合に生じるcone structureとG-structureを用い、局所平坦性とformal principleをめぐる既知の結果と問題を整理する。
Higgs場が零のとき通常のベクトル束の豊富性に戻るよう、Higgs豊富性の定義を修正する。新定義に対し、全ての曲線への引戻しとHiggs商の次数を一様に下から抑えるBarton--Kleiman型判定を証明する。
正規射影多様体上の階数 $r$ の葉層について、葉層に接する有理曲線を作るbend-and-break不等式の定数を従来の $2r$ から最適値 $r+1$ へ改善する。十分一般の完全交叉曲線と $K_{\mathcal F}$ の負性の下で明示的な次数評価を与え、積射影空間の例で定数の最適性も示す。
一般型曲面のKSBAモジュライ空間に完全障害理論を導入する二つのコンパクト化を概説する。lci被覆とbubble-tree曲面のモジュライから仮想基本類をKSBA空間へ押し出し、Kappa類などを積分するtautological不変量を定義して数え上げ幾何への入口を作るサーベイである。
代数次元ゼロのコンパクトKähler多様体を、Kummer型と単純多様体から組み立てる条件付き分類を与える。中心となる変形不変性の予想の下でMRC商に双有理的Bogomolov分解を与え、無条件には厳密単純な4次元多様体が単純トーラスのエタール商または既約hyperkähler多様体であることを示す。
Riemann面上の分数量子Hall状態で、$m$ 個の準正孔配置を曲線の対称冪で動かして得る正則ベクトル束を構成する。Grothendieck–Riemann–RochによりChern指標を計算し、完全充填時の射影的平坦性との整合、低種数でのBerry曲率との一致、多層系への一般化を示す。
同じKähler多様体列がCalabi–Yau極限を一つ持つなら、別の複素多様体極限もKählerであることを変形理論とHodge理論から示す。Weil–Petersson距離とBeltrami微分の比較を核に、K3曲面のKähler性、bounded periodを持つhyperkähler極限、K3上の安定層モジュライへ応用する。
安定極小モデルのモジュライスタックに対し、許容的な族が固定された底上で変形同値を除いて有限個になることを示す。対数Higgs層から得る定量的Arakelov型不等式が、Hom-stackの有限型性と高次元Shafarevich有界性を支える。
偏極klt良極小モデルのモジュライ空間の正規化が、任意の小平次元で準射影スキームになることを示す。核心は、非正規・非固有な底上の局所安定族について、Gabberの拡張定理を用いて直像層の弱正値性を確立する点にある。
Bertiniの幾何学的既約性定理と、連結滑らかな代数群をアフィン部分と固有部分に分解するChevalleyの定理に短い証明を与える。Weil因子、曲線のJacobian、代数群への有理写像という比較的古典的な道具だけで構成を見通せることが主眼である。
射影的slc三次元多様体では成立するabundanceが、コンパクトKählerの場合には一般に破れることを反例で示す。一方、sdlt対ではnefな対数標準因子が半豊富であり、slc対でも各正規化成分の対数Kodaira次元が正なら同じ結論が成立する。
非射影的なコンパクトKähler接触多様体を分類し、あるコンパクトKähler多様体の射影化接束に限ることを示す。一般Kähler空間で未確立の収縮定理を、最大有理連結商と有理曲線族で置き換える。
特定の積型単項式を付加して得られる高対称な特異超曲面について、特異コホモロジーと交差コホモロジーのHodge構造を計算する。最退化例のK-polystabilityも示され、周期写像・GIT境界・K-moduliを結ぶ具体例を与える。
最大変動を持つ正規射影的安定族について、次元固定かつ補間随伴体積が上から有界なら全空間が双有理有界となることを示す。より強い葉層版の有界性と、代数的可積分葉層に対する補間log canonical thresholdのACCが核心である。
単連結でホモロジーにtorsionを持たない滑らかな3次元Moriファイバー空間の向き付き微分同相型を、有限個の数値不変量で分類する。基底次元ごとにEuler標数、標準類の三乗、判別曲線などの条件を与え、一般には微分同相型が無限個ある状況を実用的な判定へ還元する。
滑らかな射影曲面上の線束について、dHYM計量の存在とBridgeland安定性の「大スケール極限」を比較する。Arcara–Miles予想を仮定し、一般のKähler類では両者が同値となることを、toric曲面に限られていた観察から任意の射影曲面へ広げる。
曲線上の有限射 $f:Y\to X$ に対する代数 $f_*\mathcal O_Y$ のHarder–Narasimhanフィルトレーションを、射影束内の因子や完全交叉という具体的な場合に計算する。順像を対称冪へ結び付けることで、計算しにくい標準フィルトレーションを元のベクトル束の不安定性から記述する。
一般型射影多様体に豊富なGreen–Griffithsジェット微分が存在するというDemaillyの定理へ、完全に代数的な証明を与える。層別化に付随する切断Chern交点数を用いた一般化Morse不等式を構築するため、同じ方法が任意標数でHasse–Schmidtジェット微分の存在を導く。
単純正規交叉対上の非退化な対数的共形テンソルが射影多様体の双有理幾何をどこまで剛直化するかを分類する。対数標準類がnefでない場合は二つの剛直モデルまたは偶数次元の最大等方ファイブレーションに限られ、数値的自明の場合には計量・holonomy仮定の下で半Abel多様体による一意化を得る。
複素代数多様体上の葉層に対する極小モデル・プログラム(MMP)を、特異点、随伴、曲面上のMMP、三次元フリップという流れで整理するサーベイである。葉層標準因子 $K_{\mathcal F}$ が通常の標準因子に似て振る舞う範囲と、特異点解消や半豊富性が破綻する葉層固有の障害を対比し、bend-and-breakと極小モデルの存在を中心課題として提示する。
potentially klt(pklt)対で反標準因子が双有理Zariski分解を持つ場合に反標準MMPの存在を別証明し、その各段階を $\mathbb Q$-factorial terminalization上の反標準非正写像へ持ち上げる。potential log discrepancyが全過程で保存される構造定理により、曲面では各段階の最小解消をredundant blow-upで結び付ける。
K3曲面、Enriques曲面、既約正則シンプレクティック多様体の自己同型群にエントロピーノルムを導入し、正エントロピー自己同型の安定ノルムに一様なギャップを示す。さらに零エントロピーの放物型自己同型について、保存する種数1ファイブレーションを用いて非カイラル性を特徴付け、Enriques曲面では全てが非カイラルであることを証明する。
射影Hyper-Kähler多様体の分類を見据え、Lagrangianファイブレーション、安定層のモジュライとatomic sheaf、導来圏という三つの近年の展開を結び付けて概観する。特異Hyper-Kähler多様体と解析的変形も視野に入れた、講義録形式のガイドである。
非固有代数多様体における非可換Hodge理論の近年の進展を概観し、調和計量、Riemann–Hilbert対応、twistor構造をShafarevich射の代数性へ結び付ける。これにより任意の代数多様体に対する線形Shafarevich予想の一版が得られる道筋を示す。
種数 $g\geq2$ の曲線のモジュライスタック上のHodge束には、階数が $0$ と $g$ の間にある正則部分束が存在しないことを示す。二つの可換な対合を持つ曲線と $(\mathbb Z/2\mathbb Z)^2$ の指標計算から、仮想的部分束の階数が $g$ の倍数であることを導く。
非コンパクトな複素解析的底上の一般化lc-trivial fibrationに対し、無理係数を許す標準束公式を確立する。判別b-divisorとmoduli b-divisorが任意の開集合への制限と整合することを示し、複素解析的局所設定で補集合の指数を次元などの離散データだけから一様に抑える。
Campanaの意味で特殊な滑らかな複素準射影多様体上では、任意の複素局所系のモノドロミーが有限指数部分群を除いて冪零度高々2となることを示す。準コンパクトKähler多様体上の局所系の普遍変形とquasi-Albanese写像を組み合わせ、従来の「virtually nilpotent」を鋭く定量化する。
射影正規多様体がFano typeであることを、反標準因子のbigness、反標準環の有限生成、そのProjのklt性という3条件で特徴づける。多様体自身に $\mathbb Q$-Gorenstein性を仮定せず、Weil因子のsection ringと反標準modelによってFano型を検出する。
Campanaのorbifold底を与える射がC-pairの射になるとは限らないことを、滑らかな射影三次元多様体から曲面への明示例で示す。一方、射がneatで底の境界が単純正規交差ならC-pairの射になることを証明し、Campanaの特殊性をめぐる予想への含意を整理する。
Schur functor $S_aE$ の正値性がpartitionのdominance順序に沿って $S_bE$ へ伝播する原理を、ampleだけでなく$k$-ample、semiample、nefへ拡張する。Littlewood–Richardson則の共通構造によって、これらを一つの「algebraic property」として扱う。
非射影complete $\mathbb Q$-factorial toric varietyをflipで射影的なものへ移すFujino–Satoの結果を、Cox ringとGKZ fanから次元・Picard数の制約なしに再証明する。さらにweak Mori dream spaceへ拡張し、適切な因子に関するflipでprojective Mori dream spaceへ到達することを示す。
$n$ 次元射影多様体上の一つの負の極端射線について、その長さが $n$ を超えるなら、多様体は射影空間に限られることを示す。MMP型特異点を許し、すべての曲線ではなくMori錐の一射線だけを調べればよい点が特徴である。
log canonicalなlog Calabi–Yau対に最大次元のトーラス作用があるとき、Albanese射の一般ファイバーが互いに双有理となることを示す。kltの場合には知られていた弱Beauville–Bogomolov分解がlog canonical特異点では破綻し得るという問題に、対称性を仮定した肯定的な答えを与える。
Hacon–McKernanの有理鎖連結性定理を複素解析空間の射影射へ拡張する。特に複素解析的klt特異点の任意の特異点解消のファイバーが有理鎖連結となることを導き、元の証明の複雑な拡張定理を直接使う代わりにMMPを前面に出す。
mixed characteristicでFrobeniusの代役を果たすglobally $+$-regular性から、有理鎖連結性を導く。剰余標数 $p>5$ の3次元の場合を証明するとともに、摂動を組み込んだstrongly globally $+$-regular性を導入し、適切なmixed-characteristic base上では任意次元の結論を得る。
Fano型多様体の接層が二つの非零な因子に分裂するとき、各因子が代数的葉をもつ可積分分布になることを示す。さらに有限準エタール被覆上で、この無限小分解が多様体の積分解へ持ち上がる。
Hilb$^n$(K3)型および一般化Kummer型の偏極hyperkähler多様体について、一般点の偏極がいつ基点自由または非常に豊富になるかを調べる。偏極の平方・divisibilityに明示的な下界を与え、モジュライ空間の連結性と非空性も扱う。
複素解析・代数・非Archimedes幾何の対応を用いて、cscK計量に対するYau–Tian–Donaldson予想の変分的証明を概説する。自己同型群の単位成分が自明な滑らかな偏極射影多様体について、cscK計量の存在と拡張K安定性の同値を説明する。
nefな反対数標準因子をもつ特異コンパクトKähler多様体について、基本群がほとんど可換になる条件を与える。 lc対、三次元klt空間、Fujiki類におけるAlbanese写像を、Kähler RCD空間の理論と結びつける。
孤立Du Bois lci特異点をもつFano・Calabi–Yau多様体の局所平滑化方向を大域変形へ持ち上げる条件を与える。特に1-rationalまたは1-Du Bois特異点への変形を構成し、Hodge–Du Bois数の等式からCalabi–Yau多様体の平滑化を導く。
bigかつnefな標準束をもつ滑らかな射影多様体のうち複素球商であるものを、高次Chern数の等式だけで特徴づける。 高次Chern不等式と等号成立時の標準モデルおよび双有理写像の挙動を明示する。
捩れなし層の代数的接錐を、滑らかな点のblow-up付値から準正則付値へ拡張する。 実数次数付き加群の斜率安定性とHarder–Narasimhan filtrationを構成し、最適延長の存在と本質的一意性を示す。
Fano多様体の接層の反標準偏極に関する勾配不安定性を、最大不安定化層が定める葉層と葉層MMPから調べる。標準特異点をもつ弱del Pezzo曲面を完全分類し、弱Kähler–Einstein計量をもつのに接層が不安定な特異曲面も得る。
Riemann面上の微分形式のstratumについて、連結成分、基本群、Euler標数、標準特性類などの位相的問題を代数幾何の観点から整理するsurveyである。コンパクト化、特異点変形、交叉理論、正値性が各問題へどう結び付くかを示し、既知結果と未解決問題を案内する。
超曲面の有理性・安定有理性・retract有理性をめぐる近年の進展を、代数的サイクル、非分岐コホモロジー、motivic integration、トロピカル幾何、matroidなどの方法に沿って解説するsurveyである。一般超曲面に対する非retract有理性の境界と、一般三次3次元・4次元超曲面の近年の結果を位置付ける。
Hodge–Riemann双線型関係と半安定層のBogomolov不等式を同時に一般化する正のコホモロジー類のpairを導入する。Schur類からなる広いクラスで一般化不等式を証明し、偏極が動くときの半安定torsion-free層の有界性と有限型モジュライへ応用する。
反標準因子を除いたFano多様体上の完備Ricci-flat Kähler計量がもたらす幾何を、因子が滑らかな場合と比例する2成分をもつ場合で比較する。前者ではBochner原理とlog接束の安定性を得る一方、後者ではそれらやquasi-Albanese写像の局所自明性が破れ、普遍被覆の無限位相型と無限遠幾何を示す。
極小解消に自己交点 $-n,-m$ の二つの例外曲線を持つ単一商特異点付きdel Pezzo曲面族について、K安定・狭義K半安定・K不安定を分類する。 Abban–Zhuang理論によるデルタ不変量評価などを使い、各安定性を持つ曲面を明示する。
滑らかで自己同型群が有限な偏極多様体の平坦族において、cscK計量をもつファイバーの集合が可算個のZariski開集合の共通部分になることを示す。TrusianiによるYau–Tian–Donaldson対応と、uniform arc K-stabilityをPaulのpairの安定性へ移す代数的議論を組み合わせ、very generalな変形上に新しいcscK例を与える。
Fujiki class Cの全空間からの固有ファイブレーションが局所Moishezonになる条件と、コンパクトKähler全空間からのファイブレーションが局所射影的になる条件を与える。整数2次コホモロジー類から指数完全系列で線束を作り、一般ファイバー上のbig性または各ファイバー近傍でのample性を非Kähler locusと特異Demailly–Păun定理で確立する。
標数0の代数閉体上で、Higgs 層の傾き半安定性と曲線半安定性が基礎体拡大で保たれることを示し、H-nflat Higgs 束の Chern 類消滅予想を複素数体上へ帰着する。さらに複素 Jacobian 楕円曲面では、H-nflat locus の極限を冪零 Higgs 束へ落とし、その Higgs 場が消えることから予想を証明する。
固定した滑らかな準射影曲線上で、Hilbert多項式を固定し、標準束がsemi-ampleである非定数な滑らかな偏極射影族が有界であることを示す。標準偏極の場合のParshin–ArakelovおよびKovács–Lieblichの結果を越え、一般の底ではmaximal variationのもとで有界性、good minimal modelをもつ族では双有理有界性も得る。
一様K安定な偏極トーリック多様体について、Futaki–Ono不変量が消え、moment polytopeの各頂点錐がsmallなsemi-canonical triangulationをもてば漸近Chow polystableであることを示す。特に滑らかな偏極トーリック多様体では三角形分割条件を解消し、一様K安定性とFutaki–Ono不変量の消滅から漸近Chow polystabilityを組合せ論的に導く。
素体上の超越次数が無限な代数閉体上で、同型なfiberをもつ滑らかな射影族は、fiberの自己同型群schemeが被約ならétale局所自明であることを証明する。Fischer–Grauert定理の代数幾何版であり、Kodaira–Spencer写像の消滅からformal trivialityを導く一方、正標数で自己同型群の仮定が必要になる例も構成する。