可算無限人の囚人問題

地獄に囚人が可算無限人いる. 獄卒の鬼が言うには, 翌日に次のようなゲームを行い囚人側が 勝てば囚人たち全員を解放し, 負ければ全員を拷問にかけるとのことである.

[ゲーム内容] 鬼は先ず囚人全員を広場に集め, 囚人各人に赤または白の帽子を被せる. 囚人たち は自分の帽子の色を知ることはできないが, 他の囚人の帽子の色は全て見ることができる. 囚人 たちは自分の帽子の色を推測し, 全員で一斉に帽子の色を答える. もし自分の帽子の色を 間違えた囚人の数が有限なら, 囚人側の勝ちである. もし間違えた囚人の数が無限なら, 囚人側 の負けである. ただし, 囚人たちはゲームの開始前にはいくらでも作戦を相談してよいが, ゲー ムが始まったら意思の疎通は一切禁止されるものとする.

囚人たちがこのゲームに勝てる作戦が必ず存在することを示せ. なお選択公理を仮定して良い.

コメント

小澤登高先生の公開講座テキストバナッハ=タルスキーのパラドックスより抜粋. 一部文章を変えた. この”獄卒の鬼”や”地獄”などの表現は良いと思う.

ちなみに, ゲーム内容の部分で「帽子の色を間違えた囚人の数が有限なら, 囚人側の勝ちである」の部分を 「帽子の色を正解した囚人の数が有限なら, 囚人側の勝ちである」に変えてもよく, しかもこの場合は選択公理は必要ない. なぜだろうか? (これは続・とっておきの数学パズルの解説に書いてあった. あまりにも簡単な答えであきれてしまったが.)